金糸業界 平糸 ひらいと とは
スリッタ-後の表記
金糸業界ではマイクロスリッタ-後の製品、出来上がった物を平糸(ひらいと)、又は単に平(ひら)、又は箔(はく)といいます。 これは出来上がった形状と金銀糸の歴史からきていると考えられます。
本金銀糸は、和紙に漆などで金箔・銀箔を貼り付け、それを糸状に細く裁断したものが始まりです。
色紙(いろがみ)の金紙(きんがみ)や銀紙(ぎんがみ)をイメージしてもらえれば分かりやすいです。片面が金色でもう片面は紙の色、白です。
これを手打ちそばのように裁断します。すると、↓下の形状の物が出来ます。
この平べったい形状から平(ひら)、平糸(ひらいと)と呼ばれるようになったと思われます。この状態では片面が金箔で裏側が和紙で白っぽく見えます。 糸として使うのはむつかしいです。そこで、この平糸を絹に巻き付ける技法が開発されました。
金糸業界では製品を表現する時に厚みと幅をそれぞれ分けていいます。例えば、厚さ6ミクロン、200きりはば(切り幅)のものを口頭で表現する時は 、ろく の にひゃく(6の200)と言います。書く時は6/200と書きます。
マイクロスリッタ-では 切(きり)という表現を使います。例えば、150切(ひゃくごじゅっきり)、200切(にひゃっくきり)です。
200切を例に説明します。
これは一尺の10分の1の一寸 、約1.19 インチ(inch)=30.226mmを200分の1にするとういう意味です。 30.226mm / 200≒0.151mm 出来上がった製品の幅が0.151mmです。
これをインチ基準で見ると、1インチ(inch)=25.4mmを168分の1にすることです。
金糸業界のカタログに 1/168″ とたまに記載されています。
切数 | 80 | 150 | 200 | 300 |
インチ(inch) | 1/69″ | 1/120″ | 1/168″ | 1/254″ |
幅(mm) | 0.368 | 0.217 | 0.151 | 0.101 |
MHハシモトでは本金糸ではない量産型の金糸を扱っています。
薄いポリエステルやナイロンのフィルムにアルミニウムなどを蒸着させて銀色を作ります。これをベースとしてこの上に黄色を着色すれば金色になります。 この時出来上がった銀と金のフィルムは同じ長さで比べると、着色した分だけ金のフィルムの方が重くなります。
そして、金糸業界ではこれを原反(げんたん)と呼びます。量産型の場合、原反の長さは9000mが基準です。 幅は蒸着装置や着色機のよって0.6~1.8mなどあるようです。
この原反が大切り(おおぎり)されて幅が約60mmになり、マイクロスリッターされます。マイクロスリッタ-の工程では200切の場合、幅60mmから幅0.151mmまで一気に切ります。一度に約390コのボビンに巻き取って行きます。そして、この時、9000mの原反をつなぎ合わせて長さ、50000m~60000mにまでします。50km~60kmです。
スリットとは一般的には【すきま】の意味です。マイクロスリッタ-ではこの【すきま】を通しながら切っていくイメージです。
厚さ6ミクロンの原反を200切り、幅0.151mmに切って尚且つ不良率を1%以内で仕事を出来る業者(職人)は日本に2件(2人)しかいません。 もはや職人技です。
このボビンに巻き取った状態でスリッターの工程は終了です。このまま海外に出荷されることもありますが、平糸(6/200)は非常に薄く細い為にこのまま網機や織機に使用出来ません。
MH ハシモトではこの6/200の平糸をダブルカバーリングする事によって、網機や織機でえ使えるように加工しています。
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